主観評価法

授業概要

主観評価法では、実験心理学の基盤に即して、人間による評価の手法、および、評価データの科学的な扱いかたを、体系的に学ぶ。講義および演習を通して、人間の主観に関するデータを客観性、再現性のある手法で得るためには、どのような測定が必要となり、得られた測定データに対して、どのような処理方法が適用可能であるのかを体得してもらいたい。
本授業で扱う主観評価法は、主として、現象観察、精神物理学的測定法、尺度構成法である。現象観察は、対象や事象について知るためではなく、それをとらえる人間の知覚の仕組みについて知るために、様々な対象や事象を観察する手法である。 精神物理学的測定法は、刺激の強度と対応させて、相対及び絶対弁別閾、主観的等価点、最適値などを求める手法である。調整法、極限法、恒常法などが代表的手法であるが、最近では、被験者の応答に対応して刺激の強度を変化させる適応法も、ポピュラーな測定法となってきた。 人間の受ける主観的な印象を直接測定するのが、尺度構成法である。尺度構成法には、絶対判断によるものと、相対判断によるものがある。絶対判断による測定法としては、系列範ちゅう法が代表的な手法である。相対判断の代表的な手法は、一対比較法である。また、人間の受ける印象を、できる限り少数の主要な因子または次元で表現したい場合には、因子分析法やクラスター分析などの多変量解析法や多次元尺度構成法が用いられる。

全体の教育目標

人間の主観に関するデータを客観性、再現性のある手法で得るためには、どのような実験計画、測定法およびデータの処理方法が必要かが分かるようになる。