研究室HP

研究内容について教えてください

人間の事を色々知りたいというのが基本的な私のスタンスです。それで人が着て違和感のない服のようなコンピュータ(ウェアラブルコンピュータ)がどうしたらできるかという問題意識をもって研究しています。
一例として最近繊維の研究をしている研究機関と共同でICタグの布を開発しました。一見普通の浴衣と暖簾なんですが、コンピュータの仕組み自体が布に組み込まれているんです。こんなふうに、普通に見える風景の中に高機能な仕組みが溶け込んでいるような情報環境の実現を目指しています。未来にはウェアラブルコンピュータは人の皮膚みたいなものになるといいなあと思っていて、人の体に直接コンピュータを埋め込む技術にも興味があります。

どうしてこの分野に興味を持たれたんですか?

小さい頃からどちらかというと内向的な人間で、人とコミュニケーションするのはそれほど得意ではありませんでした。コンピュータに出会った時に、キーボードでコマンドを打つとコンピュータがぱっと返事をしてくれるような気がして、私はこれをコンピュータと会話をしていると思ったんですね。人とのコミュニケーションとは違いますが素直に答えが返ってくるのが嬉しくて、コンピュータの前に座ってずっと作業をしているのが好きでした。でも人は、頭で考えるだけじゃなくて、身体を動かすことで得る身体知というのがありますよね。コンピュータの前にずっと座っているとその感覚が失われるし、肩も凝る。これでは人間としての本来の機能が失われてしまうと思ったのですが、コンピュータとは一緒にいたいと思った。それならばどこでもコンピュータと一緒にいれるような装置があればいいのでは、と思って、ウェアラブルコンピュータに興味を持ちました。

大学教員になったきっかけを教えてください

私は慶応義塾大学の大学院を出てから会社勤めをしました。その後に、自分個人の能力を高めたいと思って、東京大学で研究をはじめて、博士号を取って、大学で研究を続けていました。芸情には2012年4月から着任しましたが、ここに来る1、2年くらい前は産業技術総合研究所という国の研究機関で研究をしていました。

芸術情報設計学科の学生へのメッセージ

学生さんたちは、素直ですごくいいなあと思うところもありますが、若干外の世界を見ていない感じがします。持っているポテンシャルはすごく高いと思うので、どんどん外部にそれを発表していくようなことをどうやったら仕掛けられるのかなと思っています。学生さんとは私が何かを教えるというより、色々と面白いアイディアを一緒に出し合って形にしていきたいですね。