研究室HP

研究内容について教えてください

研究内容は演劇です。シェイクスピアが専門で、イギリス演劇を主に研究しています。学科・大学院の教育内容としては、シェイクスピアや英国演劇に加えて、日本の演劇、伝統芸能、歌舞伎、能、狂言から、現代の小劇場演劇やミュージカルなども取り上げています。現在は、映画や舞台において、他の国でどのように改作されたか(翻案)について研究をしています。特にシェイクスピアが日本でどのように受け入れられてきたかということに興味を持っています。原作をそのまま上演しても日本ではあまり受け入れられなかったりするので、演出家が色々工夫して翻案上演しているんですよ。あと、地域性を反映した演出は面白いと思うんですよね。例えば韓国では民族対立を反映した『ロミオとジュリエット』とかもあるし、中国などでも民族文化を演出に反映させ、京劇とシェイクスピアを結びつけたシェイクスピアなど、地域性を活かした演出が増えています。

演劇を地域の観点からみて研究しているということですか?

3年生の比較映画・演劇文化演習では、演劇と地域性の関係に焦点をあてながら地域の演劇文化を取り上げています。この演習では学外研修として炭坑で栄えた筑豊の嘉穂劇場と伊藤伝衛門邸に学生達と毎年行ってますが、演劇文化の地域性を実感できてなかなか面白いです。炭坑が盛んな時はたくさん人がそこに集まって、劇場もたくさんあったんですけど、今唯一残っているのは嘉穂劇場のみで、九州では八千代座とともに江戸時代の歌舞伎劇場の構造を今に伝える大切な演劇文化遺産です。

演劇は学生の時から興味があったんですか?

シェイクスピアの全集が家にあって、受験勉強の気晴らしにチラチラ見ていたのが、シェイクスピアに興味を持ったきっかけです。例えば『ロミオとジュリエット』も単なる恋の物語じゃなくてシェイクスピアならではの台詞が新鮮で、比喩などの表現がとても面白かったんですよ。自分は英文科で文学として初めにシェイクスピアを読んで、次に舞台や映画にも興味を抱き見てきました。この学科で演劇を教えたりしているうちに舞台や映画で見るシェイクスピアの研究にシフトしてきた感があります。演劇文化論では古代ギリシア悲劇から現代演劇まで幅広く演劇を取り上げていますが、多様な演劇文化やその地域性に触れられることは楽しいし、シェイクスピア受容研究にも役立っています。研究でも教育でも今私がこうして仕事をしているのは、芸術情報設計学科ができたお陰ですね。