研究室HP

研究内容について教えてください

私の専門は彫刻制作研究です。木や鉄といった実材を使います。作品を社会に還元していくあり方を意識して作っています。
制作と並行して芸術学に関する論考も行います。様々な社会問題に対して、アートが介入することで門が開きやすくなる場合もあります。制作と理論構築の両輪でアートの役目を探しています。研究とは別に新しい社会の仕組み作りに興味があり、NPOバンク(もやいバンク福岡)等の社会貢献を主にした活動団体(ソーシャルビジネス)にも関わっています。

どうして彫刻を始められたんですか?

学部の授業で初めてチェーンソーのスイッチを入れた時、理由もなく「これだ!」と直感しました。(笑)彫刻の授業内で「前の面を決める時は、後ろを感じながら作れ」と指導されたことは、目からウロコでした。実際には見ることができない奥行きや存在感を、手で現実化する面白さに取り憑かれました。

大学教員になったきっかけを教えてください

青年海外協力隊の美術隊員として中米コスタリカに派遣されたことがあります。植民地問題、南北問題、先住民差別問題など、机上で勉強していた社会問題が人の間で起こっていることを実感しました。自分の勉強不足を感じ、協力隊時の積立金を使い大学院で研究を続けました。芸術工学部は制作と論考の両方の研究が可能であり、これまでの経験が教育の場で活かせると考えました。

芸術情報設計学科の学生へのメッセージ

この学科は懐が深く、社会に開いているところが好きです。ある専門だけで固まることなく、異なる価値観や認識に対して寛容な学科です。
学生には多様なものの見方を身につけ、ニュートラルな立ち位置から本質的なことに気づいてほしいです。七世代前・七世代後のことを感じられるような感性と想像力をもつ人間に育ってほしいと思います。異なる価値観の中で迷う時、その葛藤を愛する人になってほしいです。葛藤なき科学、葛藤なきデザインが、人の道を誤らせてきたと思います。芸情生達は、命に寄り添う新しい社会作りの最前線にいるのではないでしょうか。